極彩 / ムック
- 極彩(通常盤初回プレス)/ムック
- ¥2,699
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「極彩」の名の通り、一枚のアルバムに多様性を詰め込んだ作りとなっている。
インストに続いて流れてくる、タイトルナンバー「極彩」は凄みを感じさせるようなHR曲だし、「25時の憂鬱」はサイケ感漂う一番→二番での感情の発散とプログレじみたこともやっている。民謡のような「優しい歌」なんかも入っており、アルバムの振れ幅は相当広いと言える。
ただ、その多様性を諸手を挙げて受け入れられるか、となると少し首を捻る点もありまして。
例えば「極彩」から続くヘヴィな「嘆きの鐘」でこちらのテンションを高めておいた後に、一気に明るすぎるパンク「謡声」を入れるのは正直どうかと思いました。
多様性こそ広がったものの、曲の質、という点で見ると「?」と思ってしまうような曲がちらほらと見られるのも個人的にはマイナス。その分、次に期待ととることもできるのですが。
まだ今作では、求める曲が違うファンの全てを満足させるだけの価値を与えられなかったように見られます。こちらがぶっ飛ぶぐらいの名曲が収録されていれば、ハード曲が好きな人もポップが好きな人も、はたまた変わった曲を好むような人、全てを満足させられるものだと思うのです。
その圧倒的な力はこの作品には無いように思えました。良質の作品ととれるとは思うのですが、何かもう一つ、というのが足らないといいますか。
しかし、ラストを飾る「流星」を聴くと、そのような不満も流れ去ってしまいました。
過去の作品群と比べるとムックっぽくないのも事実ですが、疾走しながらも何処か切なさを感じさせてくれるドラマティックなこの曲は、アルバムの締めくくりとしては最高だと思います。
何かラストだけで私は満足させられてしまいましたが、一曲でも名曲が有れば作品としての意義は果たしているともとれます。それだけ、この締めは綺麗でした。
Favorite Song 流星
上で語りつくしました。そんじょそこらのバラードなど比べ物にならないぐらい美しく、儚い。