THE MARROW OF A BONE / Dir en grey
THE MARROW OF A BONE(初回生産限定盤)/Dir en grey
- ¥3,675
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傑作だった「Withering to death」から二年。6枚目となるDirのアルバムが本作です。
本作のタイトルは「真髄」と意訳されるタイトルは、活動10年目というのを意識したのでしょうか。
今作はバラード曲の出来が非常に良いように思えます。狂気と芸術の融合とでも言うべき、美しい旋律に乗せて熱唱、絶叫する様は旋律を感じる。
前作で私が感じたヘヴィやハードさの中にメロディアス、暗鬱、キャッチーさなどと言ったエッセンスも同時に感じさせてくれたあの感覚が、今作でレベルアップしてより一層の感動を覚えました。一曲目の「CONCEIVED SORROW」で今作は傑作であると確信しました。
しかし、これからの他のアルバム曲が「あれ?」と思ってしまう曲が多かった。激しいんだけど・・・何だかあまり印象に残らなかったのです。
私はハードコアが嫌いではないし、別にDirがハードコアな曲を演奏することが悪いことだとは思いません。
しかし今作ではDirがハードコアを「取り入れた」のではなく、ハードコアに「喰われてしまった」と言った印象を私は受けてしまいました。
ただ、収録曲のバラード3曲をアンプラグドアレンジした、初回盤限定のボーナスディスクは本当に素晴らしいと思います。
本編により一層、狂気と美しさが増しており、忘れたくても忘れられない感覚を覚えます。
丁度、このアルバムが発売する前から北米でツアーを行っていた影響もあるのでしょうが、必要以上に海外を意識し過ぎてしまったのかな、と思いました。
海外に目を向ける事は、全く悪いことではないし、上昇志向の表れだとは思います。だからまだ本作ではまだ発展途上の段階なのかな。これが「真髄」では無いとは思います。
本作は私にとっては少し残念でしたが、だからと言って彼らへの期待は全く薄まっておりません。
むしろ、まだまだ彼らに向上心が絶えないことが証明されたことと、この後にリリースされたシングル「DOZING GREEN」が実に素晴らしかったこともあり、次作への期待は高まるばかりです。
Favorite Song 艶かしき安息、躊躇いに微笑み
とにかくラストが凄い。それまでの美しい旋律を自ら壊すような、凄まじい激情をぶちまける。
哀し過ぎるほど狂気と美しさが伝わってくる。